内浦湾
昆布が育つ海、
内浦湾の環境の良さ
鹿部町の目の前に広がる太平洋は、千島寒流と津軽暖流が交わる湾(内浦湾)であり、湾を囲む陸地からは冬期に山から河川を通じて大量の水が流入することによって、豊かな海の環境が作られています。「恵山漁田」と呼ばれるこの土地は、遥か遠く約9000年前の縄文時代から好漁場として 利用されていたと考えられており、今も、ホタテやイカ、マグロ、エビ、マグロなど様々魚介類が水揚げされる土地となっています。
歴史
鹿部町の起りも昆布から
鹿部町の起りも昆布と非常に深く、元和元年(1615年)に、南部大間から司馬宇兵衛が優良昆布採集の為に移住したのが開町の基であるとされています。鹿部で獲れる白口浜真昆布は、一次産業としても、二次産業としても街を支える主力生産品であり、現在積極的な商品開発も行われている原材料です。
コラム
縄文人も食べていた?
隣町、函館市南茅部地区にある、縄文遺跡、垣ノ島遺跡と大船遺跡は、2021年に「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界文化遺産の構成資産として登録されました。2遺跡は、この辺りの海が豊かだったこと、先人たちがどのように、海や山の資源を上手く活用し生活してきたかを伺い知ることのできるよい教材として、活用することを考えています。
鹿部町の昆布の生態
白口浜昆布とは?
「白口浜真昆布」は、身が厚く甘みのある澄んだ出汁が豊富に取れるのが特徴。上品な味わいで、人気の高い昆布です。身が柔らかくもちもちとした食感は、塩昆布や佃煮、おぼろ昆布等へ加工されることもあります。ほかの昆布と大きく違う特徴は、出汁に出る濃厚な深みと、舌の上でまったりとした感覚が続くことです。
鹿部町での漁
天然昆布漁と養殖昆布漁
天然昆布は大きく成長する7月~9月が最盛期。合図が出ると一斉にそれぞれの漁場へ。“箱メガネ”で水中を覗き“マッカ”という道具を水中へ。二股に分かれた先をねじって昆布に絡ませひねりながら船上へ上げます。養殖昆布は種苗を付着させたロープから海底に向かって成長します。岩に擦られることもなく、昆布同士の間隔も人の手で調整させるので天然の昆布より葉が大きく育ちます。
天然昆布の特徴
- 幅が広く肉厚で甘味のある出汁が取れる。
- 天然の昆布は岩礁に根を張り海底に横たわるように葉を伸ばす。海底は岩が多く波が岩に擦られることもあるため、傷がつかないように昆布の表面はヌルヌルで守られている。
養殖昆布の特徴
- 天然物に負けないくらいの美味しい出汁が取れる。
- 生産量が安定している。
- 成長を促進させるために間引いた昆布は“やわから昆布”などとして、おでんや昆布巻きなど別の料理法が生まれる。
- 天然物に比べるとリーズナブル。
海と陸の循環する環境について
道南地区では、活火山北海道駒ヶ岳の度重なる噴火で流出した流紋岩や花崗岩が多いため、海藻や魚が住みやすい環境を形成し、ケイ素など昆布の栄養となる成分を多く含む海域のため上質な昆布が育っています。
昆布の栄養素
フコイダン
免疫物質を調整し、
炎症を起こすタンパク質の働きを抑える
グルタミン酸
旨み成分の素
ミネラル
過剰になったナトリウムを
対外へ排出するカリウムが豊富
フコキサンチン
脂肪燃焼を促すほか、
抗酸化作用や抗炎症作用がある
アルギン酸
便秘の改善を促すほか、脂質や糖質の吸収、中性脂肪や血糖の上昇を抑える
ラミナリン
腸内環境を改善